夏に溺れかけた恋

フミヨ「ハーイ、ちょっとこっちに来て。」

フミヨ「ハーイ、ちょっとこっちに来て。」注釈(事務所の奥から、フミヨの声が聞えるが、姿が見えない。)
栗矢「えっ、何をしているの?」
フミヨ「プリンターの場所を変えたいの、だけど重くて全然動かないのよ。ちょうど良かった、この辺に持ってきてよ。」
栗矢「どれ、これはキャスターにストッパーがあって、レバーを倒せば簡単に動くよ、ホラ動いた。」
フミヨ「どこかに、そんな物があると思ったけど、そこかぁ。この辺に置いてよ。」
栗矢「今、黒木さんに会ったよ、お腹の事聞いていた?」
フミヨ「赤ちゃんの事?知っているわよ。次の日曜に、室田さんのお母さんと一緒に田舎の実家に行くって聞いたけど、結婚するなんて早いよね。この間出会ったばかりよ、でもおめでたい事だから仕方ないか。」
ナレーション「栗矢はまだ迷っていた、室田のように自分は決められるのか。彼とは生き方が違うのに、それを比べてしまう自分がいる。複雑な環境の自分とは違うと、自分に言い聞かせても平凡な生き方にあこがれる栗矢だった。」
フミヨ「本当に結婚出来るのかしら、彼女の両親を説得するのは大変よ、ずいぶん苦労してきたみたいだから。」
< 42 / 75 >

この作品をシェア

pagetop