夏に溺れかけた恋

ナレーション「フミヨが、ブイにしがみつい

ナレーション「フミヨが、ブイにしがみついた瞬間に、彼女の顔が水面から勢いよく上がった。彼女の物凄い形相に、栗矢はびっくりして、とてもまともに彼女の顔はは見られなかった。」
栗矢「しっかりこれに、つかまって！」
ナレーション「フミヨがブイにつかまったのを見ると、静かに自分の手を離して、波を立てないように平泳ぎでその場から離れた。そのとき栗矢の後ろから、ブイに近づく男がいた。」
大坪「大丈夫ですか？」
フミヨ「ありがとう、助かった！」
ナレーション「たまたま近くで泳いでいた男を、彼女は助けてくれた人と勘違いしてしまった。この事が、恋を複雑にしてしまう。」
室田「おまえと、人違いをしているぞ。いいのか？」
注釈（いつの間にか室田が見ていた。岩場に泳ぎ着いた栗矢は、室田の言葉には関心を示さなかった。）
栗矢「どうだっていいさ、もう会う事もないだろう。それより海草は取れたのか？俺も手伝おうか。」
注釈（栗矢は、室田が海草を探していた場所へ、降りていった。）

注釈（場面が変わって、その日の夜。歓楽街を、栗矢と室田が歩いている。ある１件の居酒屋に入った。店の中は、１０人は座れるカウンターと、ボックス席が二つあり、他の客はまだ入っていなかった。二人はカウンターの席に座り、ママのよう子と店員のヒロミが出向かえた。）
（ガラン　ガラン　ドアの音）