Do-tex《警察秘密結社》
305号室の目の前まで来た。右手に例の黒い手帳を握り締めながら。
怪しい空気を醸している表札からか、少しうろたえるような気持ちになってしまう。
「……、よし。」
インターホンを人差し指で思いっきり押した。勢いよくチャイムがロビーに鳴り響く。
「はい、どちら様ですか?……あぁ、田名部さんじゃないですか。」
昨日の異様な雰囲気は無く、今は何だか好印象が持てた。
聡は、握り締めていた右手をといた。そして床にあの手帳が落ちる。
「その手帳は、昨日私が探していた。」
矢倉はこちらを睨み付けた。視線は聡の眼を焼く様にして向けられた。