Do-tex《警察秘密結社》
苦過ぎず、甘過ぎずの抹茶だった。まさかこんなところで飲むことが出来るなど、夢にも思わなかった。
しかし、矢倉も変わった人間である。あの黒い手帳についてもう少し詮索するかと思ったら、今はこうして家に招き茶までだす始末だ。
いや、これから問い質すのだろうか。どちらにしても空気が沈む事には変わりは無いのだが。
「ふぅ、厄介な蚊でした。叩き潰したのに図太く生き長らえるんですから。」
矢倉は新聞紙を丸め塵箱に放った。
「ハハッ。…で、話しって何すか。」
聡は聞いた。矢倉は以前の怪しい空気を再び纏ったかのように、目付きが鋭くなった。
とうとう怒り出すのだろうか。