自由になりたくて(仮)
今日の月は満月ですね。
美しいです。
エメラルドグリーンとワインレッドの瞳を輝かせる。
美しいものは好きです。
月も嫌いではないです。
でも、やっぱりつまらないです。
何か、特別なことが起こればいいのにといつも思ってしまいます。
些細なことでいいのです。
もう、ずっと一人でこのお屋敷にいて、もう、このお屋敷から出たいのです。
でも、出来ないのです。
私は窓枠をそっと撫でる。
このお屋敷には私が出られないように結界がはられているのです。
だから、その結界が破られない限りは私は一生このお屋敷の中で一人なのです。
窓の外から、部屋の中へと目を移す。
暗い広い部屋の中。
時計だけがカチカチと言っている。
私はなんだか悲しくなって、月へと視線を戻した。
「はぁ……」
また、溜め息がでた。