華龍
「聖(ひじり)、今日からこのクラスで過ごす事になるらしい、梨空ちゃん」
颯がそう言うと聖と呼ばれた人は視線だけあたしに向けると、
「…何で女がこのクラスに来てんだ」
低い声で冷たくそう言い放った。
「何でって言われても…校長にここのクラスで我慢しろって」
あたしがそう言うと、
「…襲われても助けねぇぞ」
煙草の煙を吐きながら言った。
…襲われる?誰に?
ってか、あたし喧嘩には自信あるから襲われても大丈夫なんだけどな。
「梨空ちゃん、なるべく一人での行動は避けた方がいいよ。特にこの階ではね」
颯がバツの悪そうな顔でそう言った。
「何で?」
「女の子は特に襲われるから」
「襲われる?」
「そう。何かとこの学校の生徒は女子に恨みがあるみたいよ?」
「恨み?何で?」
「さぁ」
颯は曖昧に答えると聖と言う人の隣に座った。
「直接関係のない女子まで襲われんの?」
「そうみたい」
「は?そんなの勝手すぎんじゃん。関係のない女子襲うなんて」
あたしがそう言うと教室にいた一人の男子があたしに近づいてきた。