Look ON!
隣の倉庫の屋根に向けて発砲している華南の姿。
その右足からは赤い血が滴っていたのが靖也の位置からでも良く見えた。
何発か打ち込んでは倉庫内に隠れ、そして再び出る……その繰り返し。

「アイツっ……人の言うことぐらい聞けっ」

タンっと車の陰から飛び出した靖也は勢い良く華南を押し倒す形で倉庫内に飛び込んだ。
その後を追う様に銃が発砲される……
僅かに肩を掠めたものの弾を受けることなく靖也は倉庫に入り込めた。

「……っ。お前何考えてんねんっ!」
「お二人とも、大丈夫ですか?」

右肩の傷を確認しながら靖也は華南に怒鳴りつけた。
そして「見してみぃ」と華南の足に手を伸ばす。
幸い此方も掠めただけったらしく、少しホッとした靖也だった。
次の瞬間には立ち上がると、本部だった場所へ行き銃がないか探る。
案の定、予備で準備されていた拳銃を見つけてソレを握ると弾を確認した。

「あの私達は……」
「このまま此処で待機。それから、アイツ見張っとけ!」

本部に残っていた数名の警官の質問に答え、ビシッと華南を指差すと誠也は裏口の方から出て行った。



自慢の脚力を駆使して屋根に上がった靖也は銃を構えた。

「動くなや? 撃つで……」

銃を向けられた犯人は覆面を被っていて顔が見えない。
それでも体格や体のラインから男であると理解するにはたやすかった。
チラリと見える口元が僅かにゆがんだかと思うと、男はそのまま屋根から消える。
くそっと小さくこぼしながら靖也は屋根を走った。
ガンガンと鉄の音が良く響いている……
助走のついた状態のままでヒラリと飛び降りると靖也は男を追って発砲した。
_
< 10 / 20 >

この作品をシェア

pagetop