Look ON!
そこら辺にいるような素人ではないらしく男は誠也の銃撃を交わすと振り返って構える。
しかしすぐさま誠也の銃弾によって男の手の中の銃は弾けとんだ。
それでも未だ微笑みにも見えるような、歪んだ口元に変わりはなく……白い歯がチラリと覗く。

馬鹿にしてんのか、コイツは……
内心かなり苛立ちながらだったが靖也は銃を下ろさなかった。

「アンタに俺が殺せるか?」

男の発言に、僅かに表情を歪ませた靖也。
そのナチュラルな変化に男は笑い出す……
「何が可笑しいんや……」と、いう誠也のドスの聞いた声さえも無視して。

「気、抜くんじゃネェよ?」

ダッと一気に靖也との間合いを詰めた男は靖也に殴りかかった。
しかし誠也も普通の人間以上に戦闘能力には優れている。
交わすのと同時に銃で男の首筋を強打する。
場数を踏んでいるだけあった……

「言うとくけど、俺……接近戦は得意やで?」

銃をズボンのベルトに挟みよろめいた男に蹴り入れる。
ザッと転んだ男もすぐさま立ち上がって構え直した。しかし、

――ズカン……ッ

その場に轟く一発の銃声。
一瞬何が起こったのか靖也も把握しきれなかった……
混乱した頭で何とか分かれたことといえば、男がすでに死んでしまったということ。
そして、スローモーションで倒れてゆく男の額には弾で撃ち抜かれた穴が確かにあった。
やけにリアルに感じてしまった死に、誠也の顔は険しくなる。

数秒後には弾の飛んできた方を見たものの既に人の気を感じなかった。
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