Look ON!
全開にされた窓からびゅんびゅんと風が流れこみ靖也の髪を揺らす。
雪乃の我が侭により助手席に座らされていた靖也の表情は華南の位置から見えない。
ただ、わずかに香る煙草の匂いと靖也が愛用する香水の香りは感じられた。
ふぅーと吐き出された煙は瞬く間に流されてゆき、消える。
靖也の斜め後ろの後部座席……要するに雪乃の後ろに座る形になっていた華南は時折見え隠れする靖也の煙草を持つ手の動きになぜか視線がいっていた。
「あーそうそう、高田クン」
いきなり名前を呼ばれた警官……もとい高田 幸祐は声の裏返った返事を雪乃に返す。
そんなに慌てなくても良いのにー。とケラケラ楽しそうに笑いながらではあったが雪乃は要件を、少し真面目に話し出したのである。
「これは靖ちゃん達も聞いててね。近いうち耳にすると思うけど」
「何や……?」
流石の靖也も雪乃の僅かに変わる仕事口調に反応して意識を雪乃に向ける。
吸っていた煙草もまだ少し残っている雪乃の珈琲の缶の中に入れた。
ジュッと音立てて煙草の火が消えたのを華南も確認する……
「近いうちに暴動が起こるわ。日時は分からないけど、絶対よ」
「……あんまり嬉しい情報やないな」
「でしょ? でもね、あまり安易に考えない方が良いわ……
それなりの腕の人間が揃ってるって噂だから」
信号を左折した雪乃は間もなく見えてきた「K」本部のビルの前で車を停車させた。
そして、今回は頭使った方法で行った方が良いと思うの……
と、ハンドルに手を置いたままの雪乃が靖也を見てそう言う。
黒縁の眼鏡越しに光る瞳が酷く真剣だった。
最早高田に伝えるというよりは、靖也に教えたかったようでさえある。
「アタシからの忠告よ、気を抜いちゃ駄目。多分……何時もの様には行かないわ……」
車を降り、ビルの入り口に向かい歩きかけた靖也と華南の背中に向かって雪乃は呟く。
果たしてその声が靖也に届いていたのかは雪乃本人にも分からなかったが同じ車内に居合わせた高田だけにはハッキリと聞こえていた。
_
雪乃の我が侭により助手席に座らされていた靖也の表情は華南の位置から見えない。
ただ、わずかに香る煙草の匂いと靖也が愛用する香水の香りは感じられた。
ふぅーと吐き出された煙は瞬く間に流されてゆき、消える。
靖也の斜め後ろの後部座席……要するに雪乃の後ろに座る形になっていた華南は時折見え隠れする靖也の煙草を持つ手の動きになぜか視線がいっていた。
「あーそうそう、高田クン」
いきなり名前を呼ばれた警官……もとい高田 幸祐は声の裏返った返事を雪乃に返す。
そんなに慌てなくても良いのにー。とケラケラ楽しそうに笑いながらではあったが雪乃は要件を、少し真面目に話し出したのである。
「これは靖ちゃん達も聞いててね。近いうち耳にすると思うけど」
「何や……?」
流石の靖也も雪乃の僅かに変わる仕事口調に反応して意識を雪乃に向ける。
吸っていた煙草もまだ少し残っている雪乃の珈琲の缶の中に入れた。
ジュッと音立てて煙草の火が消えたのを華南も確認する……
「近いうちに暴動が起こるわ。日時は分からないけど、絶対よ」
「……あんまり嬉しい情報やないな」
「でしょ? でもね、あまり安易に考えない方が良いわ……
それなりの腕の人間が揃ってるって噂だから」
信号を左折した雪乃は間もなく見えてきた「K」本部のビルの前で車を停車させた。
そして、今回は頭使った方法で行った方が良いと思うの……
と、ハンドルに手を置いたままの雪乃が靖也を見てそう言う。
黒縁の眼鏡越しに光る瞳が酷く真剣だった。
最早高田に伝えるというよりは、靖也に教えたかったようでさえある。
「アタシからの忠告よ、気を抜いちゃ駄目。多分……何時もの様には行かないわ……」
車を降り、ビルの入り口に向かい歩きかけた靖也と華南の背中に向かって雪乃は呟く。
果たしてその声が靖也に届いていたのかは雪乃本人にも分からなかったが同じ車内に居合わせた高田だけにはハッキリと聞こえていた。
_