Look ON!
「あぁ中嶋ぁ、丁度良いところに」
「局長どぉも。何か用ですか」
「ちょっと緊急会議、水城も来い」

茶封筒2つと水色のファイル、それから黒いCD-Rを手にした美咲が靖也達を手招く。
ロビーの一角に集められた人々の顔はどれも「K」の上層部の人間である。
こんなところで緊急会議?と思った華南だったが、美咲が言うのだから良いのだろう。

「おー靖也。帰ってきたのか」
「要さん久しぶりです」

ソファに深く腰掛けた天草 要は左隣の空いたソファを叩いて「座れよ」と言った。
少し癖のある黒髪に同色の瞳、かっちりとした体格が印象的な「K」の局長補佐。
その右隣には栗色の髪を耳にかけながら美咲の持ってきた資料に目を通す濱口 夏菜。
彼女は「K」の特殊部隊を取り仕切る指揮官だった。
他にも情報操作部総監の山崎 徹や美咲の側近、山下 伊織も居る。

「おや、中嶋君も帰ったんですね」

ノートパソコンを抱えて早足に靖也達の方へ近づいて来たのは副長の種田 希。
美咲から黒いCD-Rを受け取ると早速パソコンを起動させた。

「あぁ、それじゃぁ早速本題に入る、よく聞け……?」

要の左隣に腰掛けた靖也の位置からは希のパソコンがよく見える。
たまに画面を少し覗き込みながら、靖也は美咲の話に耳を向けた。

「9日後、旧政府軍思想のある一団が暴動を起こそうと計画している。この中には指名手配中の殺人鬼……後藤明良などが含まれている」
「知っていると思うけれど、この男だ」

皆に見えるようにと希の手によってひっくり返されたパソコン。
靖也はチラリと見えた顔写真が自身の知っている後藤明良だったので再度見るようなことはしなかった。
華南や他の隊員達は少し目を細めて写真を見る。

「上手く逃げ回ってるわよね、彼」

一人写真を見ずに手元の資料に目を走らせたままの夏菜が嫌味を含めて呟く。
警察は何をやっているんだか。と、本心はそう言いたかったのだと靖也は察する。
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