さもありなん
colour about the colour
ロリポップ
「春が、ね。嫌いなの」
そう言って、足をぶらぶらとさせながらジャングルジムに座る彼女は、眩しそうに空を仰いだ。
「幸せそうなんだもの」
そう言いながら賑やかな柄をした、棒付きキャンディーの包みを自分に投げてよこした彼女に、自分はただ曖昧に笑って見せるだけだった。
自分は春が好きだった。
自分の誕生日が春だからというわけではなく。
彼女によく似合う白と薄い青のドットの春服ワンピースが好きだからというわけではなく。
ふっくらと色づいて咲き誇る桜のせいというわけではなく。
何か始まりそうで、
何かを知らせてくれそうで、
春が好きだった。