さもありなん
「おおおおお…」
大学のサークルの飲み会後、
すっかり暗くなってしまった夜道を帰る途中、
傘も持っていないのにざあざあと降る雨に当たってしまった。
薄い緑のワンピースは水をたっぷり吸って色が変わってしまっているし、
ベージュのトートに入った教科書は水でふやけてしまっていた。
このまま電車に乗るののは少し気が引けて、
駅のホームで仕方なしにタオルで濡れた髪の水分を拭き取りながら、
椅子に座って電車を1本やり過ごす。
「…くしゅっ!」
5月の風は、水に濡れた体にはまだ少し冷たくて、
そのせいからなのか小さくくしゃみをする。
「…風邪、引きました?」