さもありなん
首を横に振ってから、ニッコリ笑った彼女は右手にキャンディーを持ったまま、ジャングルジムから飛び降りた。
あまりに自然に飛ぶものだから、危ないだとか、そのスカートの短さだとか、そんな事を思う事も出来ず、そう考える前には彼女は自分の肩に左手を置いて、えくぼを浮かべて笑っていた。
「永田さんと会った日みたいな、空気がスキなの」
太陽の光を受けて、オレンジ色に塗れて光るそのキャンディーは、何かの魔法がかかっているかのように、その存在を主張していた。
「…どんな日でしたっけ」
彼女の言葉に何故だか顔が少し火照るのが分かる。
何故、いや、そんなことの理由は分かっている。
分かっているからこそ分かりたくないのだと、赤い顔に気付かれないように少し下を向く。