さもありなん
「雨の日」

「…そうでしたっけ」

とぼけたように言葉を濁せば、彼女が少し首を傾けた。

「覚えてないのかぁ。
大雨・洪水警報でも出てるのかと思ったくらい、凄い雨だったよ」

うん。
よく覚えてる。
忘れられるわけが無いじゃないか。

そう答えてしまえばいいものを、気恥ずかしさから「覚えてないなぁ」とうそぶいて、まだ裸足で隣に立っていた彼女の靴を拾いに歩く。






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