恋をしてたら…
窓から流れる景色は ヘッドフォンの音楽とマッチする。

それがまた 切なさを深めていき、
もう気分は ヒロイン。



結局の所…。

そもそも こんなものを 求めていた気もする。



平凡な 日常は 快適すぎて退屈だった。

日常の ささやかな 不安や喜びは あったけど。

何日も前からワクワクするような楽しみも、

うれしくて、
何度も 何度も 回想するような シーンもなかった。

そして、今朝のように、
胸を締めつけられるような 寂しさもなかった。



穏やかな生活の中で流れる毎日は、いつも曖昧な色。

だから区別がつかなくなる。

毎日、毎日が、似たような色にしか思えなかったあたしには、
いつが いつの出来事だったのかさえ 思い出せなかった。

でも今は ちがう。

今朝の朝陽を 私は 何度も 思い出すだろう。


そう。

退屈だった頃には 決して 伴う事のなかった、

この、苦しすぎる切なさと共に…。
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