恋をしてたら…

味付けした野菜と肉のラップをはずし、手早く炒める。



『これって、半分、惣菜みたいなものだよなぁー。』


と思いながら、火をとめた。


「ふーっ。」


ため息とも 鼻息ともつかぬような 音を発した私は、

味噌汁の具を考えるのをあきらめた。



棚から インスタント味噌汁のパックを出し、


ポットの湯をそそぐ。



最近、料理が面倒くさい。



ここのとこ、ずっと手抜きだ。



一時期は 見えないライバルを意識して、 張り切って料理をしていたっけ。



そうだ。

佐々木さんと 付き合い始めた頃は、



そのやましさからか、幸福感からか、

いつも 家族に 優しかったっけ…。



そして、手の込んだ料理をしていたっけ…。

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