君が笑える明日
声失き少女


「いちご。もうすぐだよ」

男が言った。
長身で、長髪。整った顔にメガネをかけたその男。
言葉は、いまその男と手を繋いでいる人物にかけられた。
幼い少女だった。
少女は、誰から見ても愛らしい顔をしていた。しかし、その顔には表情がなく、その口は固く閉ざされていた。


「ここが、これから君と僕が暮らす街だ」
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