いっこうえの先輩。
そして、習っていくうちに低い音は吹けるようになった。
まだ少し高い音は自分には難しいようだった。
「えっと…じゃあ、これで終わるね」
「はい!ありがとうございました。」
あぁ…先輩…かっこいいなぁ
ん…?先輩?
あ。てゆうか…名前聞いてない!
普通皆名乗らないし別にいっか…って思ってたけど…
先輩の名前だけは聞いておきたい…
どうしよう。
困惑して、名前を聞けそうにもない…
でも、ここは勇気をもたなくっちゃ!
「あ、あの!先輩っ!」
「ん?どうしたの?」
「あ、っと…ですね…」
あぁ…
言葉がつまってるよ…
ただ名前を聞くだけ。それだけなのに…
先輩の前だけはすごく緊張しちゃうよぉ…
「?」
…がんばれ!がんばれ私!
踏み出さなきゃ何も変わらない!
「えっと。先輩の名前…教えていただけますかっ!?」
「え?」
やっぱり以外な顔してる…
うぅ…いきなり名前なんて
でしゃばりすぎちゃった?
しゅんと目線を下に落とした。
すると先輩からはあっさり
「あぁ、名前ね。藤田 涼吾っていいます。よろしく!」
やった!名前!名前言ってくれた!
うれしくて何回も頭の中で連呼した
藤田、涼吾… 藤田涼吾! 藤田涼吾先輩!!!
思わず生徒手帳に書いてしまった。…ふふ、でも
名前だけなのに…頭の中がふわふわしてる!
私ってばおかしい。やっぱり単純!
でも、いっか。今、すっごく幸せだもん!
「それで、君の名前は?」
「…え?」
え?今、名前…?
「聞き取りずらかった?えっと、君の名前も
 教えてくれる?」
!名前、聞いてくれた…!
聞かれるなんて、思ってもいなかった。
思わず笑っちゃうよ…でもなんとかこらえるけど!
「あ、はい!田中磨樹です!えっと字は
 こうやって描きます…」
空中がきと説明をいれて名前を教えた。
「うん、ありがとう」
と、微笑み、藤田先輩も生徒手帳に名前を書いてくれた。
あぁ、どうしよう…!
好きじゃないって、なんともないって思ったはずなのに…
相手の名前を聞くだけでこんなに嬉しくなっちゃうなんて
初めてかもしれない!
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