ラヴァーズ・インザ・ダストボックス
ニャー、という解りやすい泣き声がして、僕は猫が居ることに気がついた。

いつの間にか僕の右斜め前で雨宿りをしている。

僕に一瞥をくれただけで、外側を向いてその場に寝そべってしまった。

さっきの「ニャー」は僕への礼儀のつもりなのか? 

それとも僕よりも先にここに居て、「お前挨拶は?」とでも言いたかったのか? 

どちらにしても、僕は猫とふたり、否ひとりと一匹、仲良く雨が止むのを待つしかないらしい。


今朝見た天気予報では、雨が降るとは一言も言ってなかった。

僕のお気に入りであるお天気キャスターのお姉さんは、「すがすがしい一日となることでしょう」とまで言っていた気がする。

まるでお姉さんにまで裏切られた様な気持ちになってきた。

否、お姉さんは悪くない。きっと夕立という奴だ。


この雨もすぐに止むさ。
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