ラヴァーズ・インザ・ダストボックス
彼女と別れてからの三ヶ月間は、手に入れた自由を満喫していた。

彼女に縛られない毎日を日々を、取り戻そうとするかのごとく謳歌していた。

ひとりでレイトショーへ行き、ひとりルアーフィッシングを楽しみ、ひとり焼き肉までこなしてしまった僕は、もう少しで、ひとりスキー旅行にまで出掛けてしまうところだった。


実際、旅行代理店の店頭に置かれていたパンフレットをもらってきていたし、土日に行くか、貯まっている有給休暇を取って平日に行くかで真剣に悩んでいたほどだ。


ところが、浮かれていられたのはそこまでだった。

パンフレットを眺めて、新潟方面か、或いは山形辺りまで足を延ばすか? などと行き先を思案していると、急に、本当に急に、自分はひとりなのだという事が頭をもたげてきて、何とも言えない悲しい気持ちになってしまったんだ。
< 30 / 58 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop