ラヴァーズ・インザ・ダストボックス
鎌倉に入ると、再び海が見え始めた。

それに合わせるように雲に隠れていた月が顔を見せる。

国道134号線を海岸沿いに走る。

うら寂しいと感じてしまうのは、冬の海のせいだけではないだろうな、と思う。


もうすぐ彼女は地元に戻り、結婚する――。

「なんだか頼りない感じのする人だけど、一緒にいると心が落ち着くの。君に少し似ているかもね」


どんな人なのか、と尋ねた僕に対する彼女の返答だ。

最後の言葉はどういう意味なのかと思ったけど、すぐに考えるのをやめた。
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