ラヴァーズ・インザ・ダストボックス
由比ヶ浜を抜ける頃、彼女が眠ってしまっていることに気がつく。

彼女の寝顔を見るのはあの夜以来か? 

十六歳だったな。

あれから何年過ぎた? 

彼女の背丈を追い越しても、彼女の背中には追いつけなかった。

何年経っても、やっぱり彼女は僕より五歳年上で。

結局、最後まで子供扱いだったな。


「ずるい男になるかもって心配したこともあったけど、君はやっぱりアホやな。でもそのままで良いと思うよ。モテないだろうけど」


食事休憩の時に恋愛話をして、彼女にそう言われた。

思い出して、僕は苦笑いする。

彼女らしい。
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