ラヴァーズ・インザ・ダストボックス
七里ヶ浜に差し掛かる。

空が薄明るくなってきて、道路は紫色に染まった。

この時間帯が一番好きだ、と思う。

左前方に江の島が見えた。


信号で止まる度に彼女の横顔を見つめて。


思う。


僕たちは、同じ空間に一緒に居ても、いつもいつも、それぞれにひとりぼっちだった。

あの夜の月は、やはり正しかったのだ。

そして今夜、やっと彼女に月の光が届いた。
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