ラヴァーズ・インザ・ダストボックス
車を止める。

もうすぐ太陽が昇る。


彼女はまだ眠ったままだ。

ギリギリまで寝かしておいてあげよう。


エンジンをかけたまま外に出て煙草を吸う。

そういえば、僕は彼女の真似をして煙草を吸い始めたんだ。

やっぱり子供だったな。可笑しくなってくる。


海の匂いがした。

この匂いも好きだ、と思う。


車の窓越しに彼女を見つめる僕は笑顔だ。


どうして笑っている? 


それはうれしいからだ。

彼女はもうひとりではない。

ひとりで強がる必要も、ひとりで泣くこともない。

それがとてもうれしいのだ。


帰り道、運転をするのは彼女だ。

助手席で僕は眠ってしまうだろう。


夢を見るだろうか? 見る気がする。


そしたら僕は行こうと思う。


神様が教えてくれたあの場所に、僕はひとり向かうんだ。








『Seaside,she-side』

        終
< 46 / 58 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop