ラヴァーズ・インザ・ダストボックス
Memory09 タルコフスキーが棲む世界
機上から見下ろすその海は、キラキラと光が波に揺らいでいた。
軽い眩暈がして、僕は目をそむける。
綺麗なものは、僕には眩しすぎるのかもしれない。
機内に意識を戻すが、定まらない視線は僕から何かを遠ざける。
海から上がって来た光の魚たちが、僕の周りを泳ぎ始めた。
ああ逃げられないのだな、と思う。
魚たちは青白い光を放ちながら、僕の中に入り込み、心の隙間を通り抜けて行く。
僕を過去へと誘いながら。