ラヴァーズ・インザ・ダストボックス
中学を卒業してから、彼女には三回会った。


駅前で声をかけられたのが最初。

後日改めて待ち合わせたのが二回目。

その時、彼女から「憶えてる?」と問われ、僕は何かを約束したという事を思い出し、けれどもその約束が何だったのか、という事は思い出せず、彼女は「そっか」と短い言葉だけを僕に返した。


三回目は昨日。

人通りの中に彼女を見つけた。

彼女は気付いていなかっただろう。

約束を思い出せていなかった僕は声をかけられなかった。

拘っているのは僕だけで、彼女はもう忘れているかもしれない。

そう僕だけが空回っていて。

生きてるだけで、毎日いろんなモノが絡まって、僕はいつもがんじがらめ。

それでも……。
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