ラヴァーズ・インザ・ダストボックス
久しぶりに会えた彼女とふたり、何よりも大切な時間を過ごす。
この指先で触れることの出来る距離に居る彼女の、その頬と、折れそうな細い指に、何度も揺さぶられ、けれども、触れてはいけないのだ、と僕は心をたしなめる。
彼女の心を確かめるよりは簡単だ。
流れる曲に彼女が触れた。
「これ聴いたことある気がする。何て曲だっけ?」
「『トゥモロー・ネバー・ノーズ』だよ。ビートルズだね」
「えっ!? ビートルズなの?」
「そうだよ。何で?」
「ビートルズってイメージの曲じゃないから。えっと……、ほら『レット・イット・ビー』とか『イマジン』とかさ、そういう感じじゃない? ビートルズって」
「うーん、この曲が入ってるアルバムもそうだけど、中期はサイケ色が強いかな」
僕は、イマジンはレノンのソロだ、と思ったけれど口にはしなかった。
十二時の鐘が鳴るまでの、ふたりの時間を、少しでも大切にしたかったからだ。
この指先で触れることの出来る距離に居る彼女の、その頬と、折れそうな細い指に、何度も揺さぶられ、けれども、触れてはいけないのだ、と僕は心をたしなめる。
彼女の心を確かめるよりは簡単だ。
流れる曲に彼女が触れた。
「これ聴いたことある気がする。何て曲だっけ?」
「『トゥモロー・ネバー・ノーズ』だよ。ビートルズだね」
「えっ!? ビートルズなの?」
「そうだよ。何で?」
「ビートルズってイメージの曲じゃないから。えっと……、ほら『レット・イット・ビー』とか『イマジン』とかさ、そういう感じじゃない? ビートルズって」
「うーん、この曲が入ってるアルバムもそうだけど、中期はサイケ色が強いかな」
僕は、イマジンはレノンのソロだ、と思ったけれど口にはしなかった。
十二時の鐘が鳴るまでの、ふたりの時間を、少しでも大切にしたかったからだ。