ユメとソラ
―2月―


冷たい風が頬に突きささる。


吐く息は白く、指先はかじかみ、耳は痛い。マフラーなしでは、手袋なしでは、いられない。


透き通る空気、カラダ全体が痛い。


それでも、僕はこの季節が好きで・・・



校門の前には、きっと、だいぶ前から待っているであろう、一人の女の子。


震える声で・・・


震える手で・・・


「あの…先輩…待っていたんです…」


彼女は白い肌が、うすらピンクに染まって、僕にこう告げた。


「先輩、前から好きでした…こ、れ、受け取ってください。」


「あ、あ…ごめん、受け取れないんだ…。寒いのに、待っててくれたのに、ごめん…」


彼女の潤んだ瞳からは、今にも、涙が落ちそうで、涙までが、凍えそうで…
こんな寒い日に、悪いと思った。


彼女はその場を駆け足で立ち去っていった。


こんな時にも想うのは、君のことばかり。


こんな寒い日、君とマフラーをして、二人で寄り添いながら、歩いてみたいと思った。


君のとなりで・・・



ずっと・・・



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