この世界は残酷なほど美しい
分からない、自分でも分からないんだ。
でも…だけど、
体が熱くて、呼吸がうまくできなくなる。
莉子を好きになるなんて思ってもいなくて、頭と体が気持ちについていけていない。
奈緒子が言っていた「好きになる理由なんかない」ってこういうこと?
そうだよね、きっと。
僕は芽生え出した感情を無理矢理押し殺した。
「莉子、やめて…莉子には好きな人がいるんでしょ?こんなことしちゃダメでしょ」
僕はそう言って莉子を体から離した。
莉子は僕を見つめる。
「流星が泣いてたから。だからあたしはあたしなりに励ましたんだよ。好きな人を裏切ったわけじゃないよ。」
莉子は莉子のやり方で僕を励ました。
でもね、莉子。
僕の心が痛いと訴えているよ。
気付いたときにはもう遅すぎた。
莉子と出逢ってまだ数日しか経っていないけれど、僕はできることならずっと、キミの隣にいたいと思う。
誰かを好きになる僕も悪くはない。
「莉子は優しいんだね。教室に戻ろうか」
積乱雲の間から雲が顔を出す。
太陽が照らす先には、
僕たちの未来が待っていた。