この世界は残酷なほど美しい
校門を出るとある異変に気づく。
駅に続く歩道にある人物の姿が二つ。
その影が長く伸びて巨大化し、道に描かれていた。
「流星…。」
彼女は花音だった。
僕の名前を呼んで今にも泣きそうな瞳でこちらを見た。
そして花音の隣にいるのは僕の知らない人だった。
黒い短髪に超エリート高校の制服を身に纏っている。
それが妙に鼻についた。
「僕は勉強できるんで」と制服がバカにしてるようにしか見えない。
「花音何やってるの?」
そう僕が言うと花音は僕に助けを求めるかのようにこちらに駆けよって僕の背中に隠れた。
「どちら様?」
僕がそう言うと彼は僕を頭の先から爪先まで舐めるように見た。
「俺は花音の元カレです。斉藤蓮…知りませんか?」
知ってるもなにも…
僕の親友ですけど……。
「今日はお礼を言いに来たんです。花音と別れてくれてありがとうと。」
なぁ、蓮。
お前の世界に大切な人はどれだけの数、存在してる?