この世界は残酷なほど美しい
バカだな、蓮。
何で自分を犠牲にしてまでそんなことしたんだよ。
花音が好きなら花音を好きでいたらいいじゃないか。
「キミは可哀想だね。花音が蓮と別れたからって花音はキミと付き合うと思ってるの?花音はまだ蓮のことが大好きなんだよ。」
僕は花音の方に体を向けて「携帯貸して」と言った。
花音は疑うことなく素直に僕に携帯電話を貸した。
ビビッドカラーの携帯を開き、僕はその画面を彼に向けた。
「その証拠に花音の待ち受けは蓮とのツーショット。きっと蓮もこの待ち受けだと思うよ。」
「待ち受けなんて…すぐに替えれるさ」
「替えれないよ。だって二人はお互いのことが大好きなんだから。花音はキミを選んだりしない。キミはまだまだ青虫さんだね。」
「……は?」
「青虫はサナギにならないと蝶々にはなれないんだよ。キミは勉強出来るかもしれないけど、無理矢理人の気持ちを踏みにじるようなことはしてはダメだ。きっと花音はキミを好きになったりはしないよ」