この世界は残酷なほど美しい
「隠してることって?」
『お前最近何か変わったことあるだろ?』
蓮はいつもより低い声でそう僕に言う。
だが僕はひとつもそれらしき解答が見つからず戸惑ってしまう。
変わったこと?
苦手だったチーズが最近になって食べられるようになったことか?
まさか蓮がそこまで僕のことを見ているはずないしな…
もう一度考えてみるがやはり結果は同じ。
降参して教えてもらうしかない。
「え…分かりません」
『流星…好きな人できたろ?』
ボッと熱くなっていく体。
あぁ、そういうことか。
今の僕はきっとゆでタコのように赤い顔をしているのだろう。
頭の隅の方で想像したらちょっと笑えてきた。
「えっ!はっ!ななな…何を言うんですかキミは!」
『すげぇ分かりやすいんだな、流星。その好きな人ってさ、安野だろ?』
さすが蓮くん。
だてに親友をやってはいませんね。
まるで僕の心のすべてを読めるみたいだ。