この世界は残酷なほど美しい
~6.カラフルワールド~
どうしてだ。
どうしてあんなことを言ってしまったんだ。
言うつもりも、抱きしめるつもりも無かったのに。
だけど僕の今まで見てきた世界が少しだけ広がった気がした。こんな感情を教えてくれたのも、世界を広げてくれたのも、全て莉子だった。
「で?お前は何をしてるわけ?」
「うっるさいな!」
僕は気持ちを伝えたあと保健室に逃げ込んだ。
莉子の返事を聞かずに逃げた。結果はなんとなく分かっていたから聞くまでもない。
僕は莉子の一番にはなれない。
そう確信してしまった。
なぜならば、莉子を離したあと無言で莉子がある一枚の写真を僕に見せてきたからだ。
その中には一人の男の子が写っていた。
恥ずかしそうに笑う姿がどこか幼く、綺麗な顔立ちからは少し外語人の匂いがした。
この人はきっと莉子の好きな人だ。
そしてこの人も莉子が好きなのだろう。
僕が莉子を見つめる視線が似ていた。