この世界は残酷なほど美しい
「ホッとしてる?何で?」
「そんなの単純だよ。ただ流星くんが莉子ちゃんとくっつかなくて良かったってこと」
「…奈緒子は何を考えてるか分からないね…」
「そう?そんなのすぐに分かるよ」
…分かんないよ。
色々考えてみたけど分かんなかったよ。
今日も野中から話を聞いたけれど、奈緒子がどうしたいのかが見えてこない。
今こうして隣にいるのかも僕には謎だらけだ。
「でも流星くんは莉子ちゃんを好きになってからちょっと変わったよね。前より生きてる!って感じがするよ」
僕を見上げて奈緒子は言った。奈緒子の瞳が純粋すぎて、僕はすぐに視線を反らした。
ずっと見ていたら吸い込まれそうになったんだ。
「確かに…自分でも驚くくらい明日が楽しみって思うようになったんだ。でもきっと莉子には振られると思う」
「そんなの、分からないじゃない?」
「その確率は?」
ちらりと奈緒子の横顔を見てこう聞くと奈緒子は下を向いて笑う。
「それは神様だけが知ってると思うな」