この世界は残酷なほど美しい
ヒカルさんは超売れっ子弁護士であらゆるテレビ番組に出ている。
容姿端麗で世の中の女性を魅了している。
だからもう随分と顔を合わしていない。
ひょっとすると母さんの葬式以来会っていないのでは。
「あっ!ヤバい!タイムセール始まるじゃん!」
すると春さんは駅の時計を見てこう言った。
そして慌てて大型スーパーの方向に体を向ける。
「あの!春さん!」
「じゃあな流星!このタイムセール逃すと厳しいんだ。あっそうだ!今度星形の折り紙のやり方教えてくれないか?」
「え?星形?」
「覚えてないのか?小さい頃よく流星折ってたじゃないか」
春さんはそう残し、風のように僕の目の前から姿を消した。
気づいたときにはもう春さんの姿はなく、ただ脱け殻となってしまった人間がぽつりと存在していた。
春さん…何て?
星形の…折り紙?
上手く呼吸が出来なくなる。
母さんの部屋で見つけた星形の折り紙。
僕はカバンの中を見るとそれはやはり存在していた。