この世界は残酷なほど美しい


俺は雅の隣に座り、それを取る。



「雅…これ…」




「…美羽のために作ったんだ。結婚記念日のプレゼントに」



「そうか…」



俺は写真集の中を開いていく。その中には美羽しか映っていなかった。
美羽の笑った顔や、流星の戯れる姿、寝顔や、欠伸姿。
カメラを見つめて可愛く笑う姿。
雅が美羽を愛しく想う証がその中には詰まっていた。

俺は思わず泣いてしまう。
雅がどれだけ美羽を愛していて、美羽が大切かが痛いほど伝わってきたから。


雅の中には美羽がまだ生きていて、居なくなったと雅は信じたくないのだった。



「雅……」



「美羽に見せたかった。きっと美羽は恥ずかしそうに笑ってくれると思ったから…俺は…美羽を…」




この日が最初で最後だった。
俺の前で雅が泣いたのは。




「失いたく無かった…」






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