この世界は残酷なほど美しい
愛していたのに。
こんなにも愛していたのに。
美羽は雅を置いて死んでしまった。
俺は美羽が入院した頃のことを思い出した。
「ねぇヒカル。お願いがあるんだけど」
「ん?なに?」
「日記をね、買ってきて欲しいの」
「日記?そんなの雅に頼めよ」
「雅に頼むと変な柄のついたのを買ってくるから。センスの良いヒカルに頼んでるの」
「日記なんて何で書くんだよ」
そう美羽に聞くと、美羽は寂しそうな表情をしてこう言った。
「日記は何年経っても消えないから…」
きっと美羽は自分の未来を知っていたのだと思う。
いつか居なくなると分かっていたから過去を未来に繋げようとしたのだった。
俺はきっとその日記を雅に渡すものだと思っていた。
だが雅に聞くと「そんなの無かった。」と言われた。
じゃあ美羽はどこにそれを隠してというのだろう。