この世界は残酷なほど美しい
光輝さんに聞いても春に聞いても皆口を揃えて「知らない」と言う。
そんなはずがない。
美羽は俺の前でも日記を書いていた。
中庭で遊ぶ流星を見ながら。
愛しそうに…。
美羽が命日の七夕が近づく度にあの日記はどこに行ったのだろうと思っていた。
だけど何年経っても見つかることはなかった。
もしかしたら美羽が捨ててしまったのかもしれない。
最近はそう思うようにしていた。
でも、美羽。
もしキミが何かを隠しているのなら教えてよ。
雅は未だにキミがどこかで生きていると信じているよ。
あの約束を胸の中にしまって。
…ヒカルさんの話を聞いていたら全身の力が抜けてしまった。
父さんはあの日病院にいたんだ…
僕は誤解していた。
父さんは母さんより仕事を優先したのだと思い込んでいた。
だけど違った。
誰よりも早く病院に駆けつけていたのだった。
「流星が雅を許せないのも分かる。頼りの父親がいなくて流星は不安だったんだよな。だけど雅も苦しかったんだ。愛する人がいなくなる瞬間を見たく無かったんだよ…」