この世界は残酷なほど美しい
やっと、再会できたと。
きっと、美羽お姉さんもこの瞬間を待っていたはず。
でも…違うよ。
あの時の流星くんがどこにもいないよ。
“また逢えるって信じてるから。さよならなんて言わないよ”
力強く抱きしめてくれたのは夢だったの?
私のこと忘れちゃった?
今度は私があなたを支えたいと思ったのに。
流星くんの瞳はどんよりとした雲のように何かフィルターがかかっているようだった。
「まだ…渡すときじゃない」
そう判断した私は流星くんと関わらないように出来るだけ離れて生活するようにした。
クラスも違うせいか廊下でもなかなかすれ違ったりしない。
たまに見かけると言えば購買でミルククリームパンを買っている姿くらいだ。
いつも同じパンで正直飽きないの?と思ってしまう。
だけどどれだけ離れて生活していても、流星くんの噂話は私の耳に届いてしまうのが痛かった。
「流星くん、また告白されたんだって」
「次は先輩だってさ」
「でもまた断ったんでしょ」
「流星くんは絶対無理だよね」