この世界は残酷なほど美しい
そして時は経ち、私と野中くんの付き合いにも限界が見えてきた時、あの事件が起きた。
高校三年生。
流星くんと初めてのクラス。
私は決めていたのだ。
卒業するまでにはノートを渡すと。
そして信じていた。
流星くんが昔の流星くんに戻ってくれると。
あの事件の前日、私は野中くんに別れを告げた。
理由は野中くんの浮気だ。
目立つ容姿と性格が影響しているのか、野中くんはやたら後輩にモテた。
そんな後輩と浮気しているのを目撃してしまったのだ。
だけど別れを切り出すのに好都合だとその時思ってしまった。
最低だとあとから思ったけれど、でもやっぱり私の心の中には流星くんしかいない。
「野中くん、別れて欲しいの」
『は?なんで?』
別れ話の手段は電話。
直接話したら殴られそうだったから。
「私、見ちゃったの。野中くんが後輩の子と遊んでるの」
なんかこのセリフ、ドラマにありそう。
『……坂井流星だろ』
「え?」
『俺はそんなに坂井流星を越えられないのか?』