この世界は残酷なほど美しい


同じクラスになった私たちの関係は挨拶をする程度だ。
「おはよう」「これここでいい?」「じゃあまたね」


だけどあの日、朝学校に行くと私と野中くんが別れたことは一斉に広まっていた。
教室に着くと友達が私を心配そうに見つめて廊下で話を聞いてくれた。



「私が野中くんのこと名前で呼ばなかったから…」



「でもそれは別として浮気はダメでしょ」



友達は私に好きな人がいても野中くんと付き合っていたことに対して何も言わなかった。
「野中くんがそれでいいって言ったんだから責任は野中くんにある」と強く野中くんを否定した。

でも私にも原因がある。


頭の中がごちゃごちゃになって、一気に涙が溢れたとき、たまたま流星くんが廊下を通りかかったのだ。



私は勢いよく走る流星くんの後ろ姿が愛しくて。
私の中のヒーローだった。





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