この世界は残酷なほど美しい
~9.7月7日のラブレター~


あ、夏の匂いがした。
空気を吸ったら夏の青くささの残るカラッとした匂いが鼻からすうっと入ってきた。
そうか、もうそんな時期か。


僕は夏の星座が好きだ。
いつも見上げれば星があって、そこに描かれる花火がよりいっそう綺麗だから。

あの星の光さえあれば僕は生きていける。




「…流星くん、ごめんね」




奈緒子の話から現実の世界に戻ってきた僕は、なんだか心が軽くなったような気がした。
母さんが残した日記は奈緒子が持っていた。
今まで隠していた奈緒子に僕は「最低だ」なんて言うつもりもない。
だから僕はこの言葉を。




「今までありがとう。」




「え…?なんで…なんでありがとうなんて言うの?」




奈緒子は涙を流して僕を見上げる。



「だって今まで大切にしてくれてたから。僕たちの想い出を。母さんの日記を…だからありがとう。奈緒子で良かった。」





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