この世界は残酷なほど美しい
誰かを好きになること。
誰かに好かれること。
これは奇跡なんだ。
ふとした瞬間に好きになったり、体が熱くなったり。
それは大事なことなんだ。
変化する自分を、変化していく自分を、受け止められるくらい強い人間になりたい。
だけどごめんね、奈緒子。
僕は自分のこの気持ちを、
大切にしたいんだ。
「奈緒子には感謝してるよ。ずっとずっと僕を想っていてくれて嬉しい。でも…僕は…やっぱり莉子が好きなんだ……」
こうしてる今でも莉子のことが気になって仕方がない。
今何してるのかなぁ、とか。
今どこにいるのかなぁ、とか。
1日24時間あって、一瞬でもその人のことを思い出すとすごく幸せな気持ちになれる。
自分の心の中に誰かがいる。
それが初めての経験で僕はこれを失いたくないと思う。
「この気持ちを大切にしたいんだ。莉子とは両想いになれないかもしれない。でも…それでも僕は人間に近づいていく自分を大事にしたいんだ。」
「……流星くん」
そして僕は一粒の涙を流した。