この世界は残酷なほど美しい
僕の中に溜まっていたものがゆっくりとゆっくりと、流れていく。
父さんに対する憎しみ、
母さんがいないという寂しさ、好きな人には好きな人がいるという苦しさ、目の前で好きだと言ってくれる人に対しての自分のもどかしさ。
それ僕の瞳から透明な色となり涙として流れていく。
僕はずっと生きる意味など、存在価値などどうでもいいと思っていた。
だけど、人間が人間の意味を探していくのも悪くはない。
「…奈緒子、僕は少しはでも変わったかな?ちょっとは青虫から成長したかな?」
こう言いながら笑うと奈緒子も笑ってくれた。
そして「うん」と大きく頷いた。
「昔の流星くんに戻ったみたいだよ。私流星くんを好きになって良かった。私間違ってなかった。信じて待ってて良かった」
奈緒子は流れる涙を拭いてもう一度…
「僕も奈緒子に逢えて良かった。奈緒子は僕の救世主だ」
可愛い笑顔を僕に見せてくれた。