この世界は残酷なほど美しい


僕の中に溜まっていたものがゆっくりとゆっくりと、流れていく。

父さんに対する憎しみ、
母さんがいないという寂しさ、好きな人には好きな人がいるという苦しさ、目の前で好きだと言ってくれる人に対しての自分のもどかしさ。


それ僕の瞳から透明な色となり涙として流れていく。


僕はずっと生きる意味など、存在価値などどうでもいいと思っていた。


だけど、人間が人間の意味を探していくのも悪くはない。




「…奈緒子、僕は少しはでも変わったかな?ちょっとは青虫から成長したかな?」



こう言いながら笑うと奈緒子も笑ってくれた。
そして「うん」と大きく頷いた。




「昔の流星くんに戻ったみたいだよ。私流星くんを好きになって良かった。私間違ってなかった。信じて待ってて良かった」



奈緒子は流れる涙を拭いてもう一度…




「僕も奈緒子に逢えて良かった。奈緒子は僕の救世主だ」





可愛い笑顔を僕に見せてくれた。





< 272 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop