この世界は残酷なほど美しい
それは純白のノートだった。
僕が求めていた物。
これは…母さんの、生前の日記だった。
「これって……」
目を丸くさせてそれを凝視する。
日記はヒカルさんが言っていた通りの姿だった。
「今まで隠していてごめんね…。今だと思ったから…美羽お姉さんの約束を果たせるの」
僕は震える手で奈緒子から日記を受け取った。
想像より遥かに軽かった日記の中に一体何が書いてあるのだろう。
もう一度奈緒子を見ると、にっこりと笑ってみせた。
ごくん、と息を飲んで僕は思い切り奈緒子の腕を引っ張る。
そして強く抱きしめた。
奈緒子から感じることのできる温もりは以前感じたことのある温かさだった。
「流星くん!?」
「ごめん…でも何かこうしたくて。体が震えるんだ。僕はずっと母さんが遠くに行ってしまったと思っていたから…今手元に母さんの想いがあるって考えると何だか怖くて…。」
「大丈夫だよ。きっと美羽お姉さんは流星くんのことをちゃんと見守っていてくれてるよ…」
「…うん、ありがとう、奈緒子」
母さんがこの日記に何を描いたのだろう。
見るのが少し怖いけれど、母さんにちょっとでも逢えるのなら僕は覗いてみようと思うんだ。