この世界は残酷なほど美しい


だけどそれは愛されている証拠で。
それに気づくのは大人になってからが多い。



写真を見終えた僕は、本棚の所にあったアルバムを取り出す。

生前、母さんはよくアルバム作りに没頭していた。

写真一つ一つに母さんの想いが書いてある。
これを見るのは何年ぶりだろうか。
すごく久しぶりに感じて、どんな写真が収められているのかちょっとドキドキした。




“祝、流星誕生!”


僕、サルみたいじゃん。


“流星が笑ったよ”


顔をしわくちゃにして。



“流星がハイハイをしたよ”


何だよ、ブレてるじゃん。
そんなに嬉しかったのかな。



“ママって言った!”


そっか、僕が初めて喋った言葉は「ママ」なんだ。




“お爺ちゃんの家にきたよ”



じいちゃんばあちゃん若いなー。
僕めっちゃ緊張してる。



“流星お誕生日おめでとう”


僕ね、母さんの作る料理好きだったよ。
たまに味付け変なときあったけど。
特にポテトサラダ。
でも残さず食べてたから偉いでしょ?




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