この世界は残酷なほど美しい
生まれてから一度も異性を好きになったことがなかった。
かといって同性が好きなわけでもない。
ただ興味がなかった。
繰り広げられる日常の中で、僕は周りの同世代の一歩手前にいた。
周りは恋人の話など別れた話などで盛り上がっているが僕にはそんな経験もなければ経験したいと思う瞬間がまだ無かった。
だけどどうやら僕はモテるらしい。
自分で言うのは照れ臭いし、馬鹿みたいだと思うかもしれないけど、どうやら本当らしいのだ。
申し遅れました。
僕の名前は坂井流星(さかい りゅうせい)と言います。
今年の春から高校三年生になった。
周りの友達が受験で焦り出しているが僕はもう志望校は決まっていた。
だから焦る必要も何も無い。
「先輩は……どんな人が好きなんですか……」
疑問系に聞いてくる彼女。
僕は空を見上げて考えるフリをした。
かなり愚問だ。
恋愛をしたことがないのに好きなタイプを聞かれても分かるはずがない。
僕は彼女の瞳を真っ直ぐに向けてこう言った。
「人間らしい人かな」