この世界は残酷なほど美しい


ちゃんと父さんの目を見て言えることができて良かった。
こんなちっぽけな息子でごめん。
だけど誇りに思って欲しい。
そう思ってくれるだけで僕の価値が芽生えるから。




「まさか流星からそんなこと言われるなんて…」




父さんは僕から視線を反らして空を見上げた。


泣きたいときは空を見上げる。僕が小さい頃に教わった魔法。なぜなら、空からのご褒美がもらえるから。




「ねぇ、父さん。どうしてここに母さんのお墓を?」



「ここは…」




覗かせてよ。
父さんの心を。
いいでしょう?
だって僕たちは家族なのだから。




「…母さんに流星がお腹の中にいると言われたのがこの場所だったんだ。海を見ながら、俺の手をお腹に当てながら…」





そうか。
僕は生まれる前からもう幸せだったんだ。
気づくのが遅かったね。
でも今からでも間に合うと思うんだ。



お願いだよ。
教えてよ。



僕が生まれてきて幸せだと思ってくれた?






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