この世界は残酷なほど美しい


性別が分かってから名前を考えた。
だけどそれはすぐに決まった。
やっぱりこれしかないと思った。



「名前、流星っていうのはどうかな?」



「うん、素敵な名前。私もそれがいい。坂井流星…いい響きね」



美羽が愛しそうに大きくなったお腹を触る。
俺も美羽のお腹を触った。
するとお腹の子供が勢いよくお腹を蹴ったのだ。




「元気がいいね。さすが男の子」



「雅に似たのかもね。」




「どういう意味?」



見つめ合いながら、幸せを共有するように、俺たちは笑った。

早く逢いたいよ。
逢えたら抱きしめるね。
だから泣かないで笑ってよ。



丁度その頃、新しい写真集について出版社から連絡があった。ずっと撮りたかったものがあった。
だから今回はそれを題材にすることにした。
それは…美羽だ。
美羽は不器用だけれど懸命に生きている。
そんなありのままの姿を誰かに共感してもらいたい。

撮影は長期間。
自分の納得の行くまで撮ろうと思っていた。




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