この世界は残酷なほど美しい


潮風が現実の世界へと引き戻してくれる。
僕は父さんが秘めていた想い、記憶にただ涙を流していた。



「流星…ごめんな。今まで寂しい思いをさしてきたよな…」



僕は足元にあった石を蹴る。
それはコロコロと転がって行った。



「…いいよ、僕のことなんて。それより父さんの方が寂しかったでしょ?母さんがいなくて…」



「俺は何か勘違いしてたみたいなんだ。美羽が居なくなったら何も残らないって思ってた。でも俺にはまだかけがえのないものがあるじゃないかって思った。」



父さんは真っ直ぐな瞳で僕を見る。
そんな父さんからは迷いなど微塵も無かった。




「流星がいる。お前は父さんと母さんの宝物だ。これからもずっと。だから俺は流星のために生きていくから…」




僕はずっと探してた。
自分の価値を。
だけどその答えが分かった気がするよ。


一人一人に生きている価値があって、それは誰かにとってかけがえのないものなんだ。



僕は父さんと母さんにその意味を教わった。


ありがとう、今まで僕を大切にしてくれて。



だから、さよなら。
昔の僕。
もう迷ったりしない。



さよならのあとは、こんにちは。



こんにちは。


新しい僕。



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